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「Feminas」会議ルポ

アストゥリアスで開催された食の世界の女性たちと地方の食をめぐる会議「Feminas」。オンラインで無料で見ることができます。

そしてWIGでは、WIGメンバーの小林由季さんが、現地からのルポを送ってくださいました。

ルシアの活躍をご覧ください。https://www.gastrofeminas.com/en/perfil/inscripcion

* * *

2021年9月
スペイン在住ライター
小林由季

FEMINAS
食の世界の女性と
地域社会について考える
国際会議
〜スペイン・アストゥリアス州〜

 2021年5月に緊急事態宣言が解除されると、スペインでは堰を切ったように様々な活動が始まりました。リモート参加も一般的となった今、コロナのニューノーマルの中ではオン・オフ両ラインで開催されるイベントがほとんどです。

 去る9月13日〜15日、スペインの北西部のアストゥリアス州にて、「第一回食の世界の女性と地域社会について考える国際会議 FEMINASフェミナス」が開催されました。世界8カ国、ガストロノミー界で活躍する女性シェフや、農業漁業や畜産といった第一次産業従事者、著名レストランの女性ホール支配人、伝統料理保存団体などが登壇し、聴講者には食関連ジャーナリストや行政関係者の姿も。対面とオンラインで行われた3日間の会議では、過去15年間の女性の食の世界への進出の成功を讃えながらも、まだ根強い性差による偏見に対する問題提起や、公共交通網、インターネットを始めとしたインフラ整備など地域社会で発展させるべき点について、多岐に渡る議論が活発に行われました。

 今回登壇した世界各国のプロフェッショナルの間では、伝統的な料理、畑や海での生産活動、サステナブルな生活のヒントは過去の生活習慣の中にあり、現代のテクノロジーを享受しつつも「未来の答えを過去に学ぶこと」というメッセージが繰り返されました。

【ルシアからのメッセージ】
 WIG会でも親しみ深いガリシア州サンチアゴ・コンポステーラの女性シェフ、ルシア・フレイタスも30名を超えるこの会議の登壇者の一人でした。この数年彼女が情熱を傾けて研究を続ける野菜素材の色をテーマに、独特の色彩世界を紹介したのち、ガリシア女性らしい力強い発言がスペインメディアでも多く紹介されました。
彼女の言葉をここに伝えましょう。

「コロナのあとに、様々なことが再編されようとしています。私も社会を変えてゆくのは今だと思います。レストランは今が一番大変な時期かもしれません。でも、今だからこそ一番大事なことがわかるのです。私の場合はそうでした。これまで必要に迫られたこともあり、レストランを一生懸命やってきました。息子とも十分な時間を一緒に過ごせずにいました。そして、コロナですべてが止まった。今だからこそ家族といなければならないし、だからこそゲームのルールを変えてゆかなくてはいけないとわかりました。私も、私のチームのみんなも家族と一緒の時間を楽しむべきだし、彼らの家族だって私達と一緒の時間を過ごすべきです。私はこれまでワーカーホリックのように働いてきました。でも、今がそれを変えるタイミングだと思うのです。私たち経営者が従業員たちの就業時間も、お客様の意識も変えてゆかなくては。厨房では14時間〜16時間労働というのは当たり前です。でも、男女誰でも子供を持ち、家族と過ごす権利があるのです。幸い、私の厨房では女性の才能が溢れています。厨房の中の男女平等を問うならば、厨房の内外での就業時間の平等性も探求するべき。平等性というのは、仕事と個人の人生の時間のバランスを取ることではないでしょうか。」

 現在ルシアのレストランでは、長短2つのコースを提供していますが、ゲストの入店時間を制限することで長居を回避し、従業員が適切な時間に上がれることを配慮しています。こうした営業時間の変化も、客にその都度説明するときちんと理解が得られ、それもコロナがあったからこそ共通の理解にたどり着けるといいます。家庭を守る存在でもあり、従業員を守る経営者の立場にあるシェフが率先して営業時間や営業日を短縮する傾向は、コロナ以降スペインで多く見受けられます。
 コロナを機に地方での生活を始め、その価値と生活の質を再認識した人々も少なくありません。会議では、地方発信の様々な未来像が活発に議論され、個人生活、ひいては地域社会も改善される芽生えを感じることができた3日間となりました。

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